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レトロな雑記帳
昭和のテレビ、映画などについて取り上げています。
ウルトラマン 第5話〜第8話
「ウルトラマン」視聴記の続きです。

第5話 ミロガンダの秘密
物語。オイリス島調査団の山田博士や新聞記者たちが次々襲われる。山田博士はオイリス島から食虫植物ミロガンダを持ち帰って品種改良のため放射能を照射していた。科学特捜隊は調査団の残る1人、女性カメラマンの浜口(若林映子)が次に狙われると見て身辺の護衛にあたる。そこへミロガンダが巨大化したグリーンモンスが現れる…。

今回はイデ隊員のコミカルさがいつにも増して全面に出ていました。怪獣がちょっと不気味なので、そのバランスを取ったと言うわけでもないのでしょうが。
準レギュラーの岩本博士こと平田昭彦が初登場。今回は植物の薀蓄を述べていますが、後ではロケットとかも作っていたはず。いったい何が専門の学者なんでしょうか?

第6話 沿岸警備命令
物語。横浜の港に行ったホシノ少年とその友達2人は、指名手配の宝石泥棒ダイヤモンドキック(伊藤久哉)を発見する。そこへカカオの実を食べる怪獣ゲスラが現れ、カカオを搭載した貨物船を襲う…

怪獣騒ぎと、宝石泥棒事件に子供たちが巻き込まれるという、関係の無い話が並行する展開。はっきり言ってあんまり面白くないです。でも、子供たちが活躍して、ちょっとハラハラさせて、最後はほのぼのハッピーエンドで締めくくる…これがオーソドックスな子供向けヒーロー物の形なんでしょうね(笑)

第7話 バラージの青い石
中近東に謎の隕石が落下。パリ本部の要請で日本の科学特捜隊が調査に出動する。エンジンの故障で不時着した科特隊はクワガタみたいな怪獣(実際はアリジゴク)アントラーに襲われる。やがて科特隊は伝説の古代の町バラージにたどり着く。そこでノアの神として祭られていたのは、ウルトラマンそっくりの石像だった…。

今回は日本を飛び出し外国が舞台。海外派兵?…あ、科特隊は軍隊じゃないか。
バラージはアラビアンナイトに出てくるような異国情緒たっぷりの町。やけに金がかかってるなと思ったら東宝映画「奇巌城の冒険」セットの使い回しなのだとか。
チャータムを演じた弓恵子がゾル大佐こと宮口二郎の奥さんというのは有名ですが、大映ファンにはお馴染みの脇役、潮万太郎の娘さんでもありますね。

第8話 怪獣無法地帯
物語。多々良島で消息を絶った測候所員の救出のため科学特捜隊が出動。島は怪獣たちの巣窟になっていた…

出ました。レッドキング、チャンドラー、マグラー、そしてピグモン、スフランの五大怪獣(スフランも怪獣か?)が登場する豪華版。これはストーリーどうこうより怪獣プロレスをたっぷり楽しめばいいという趣向ですね。
で以って、のっけからいきなりレッドキングとチャンドラーの格闘。レッドキングは頭空っぽの腕力自慢タイプ。こういう顔の子供って小学生の頃、必ずクラスにいそうです(笑)
でも強そうなのは見掛け倒しで弱いです。ウルトラマンに投げつけられただけで、死んでしまいました。
ちなみにレイモンド・チャンドラーという作家がいますが、勿論怪獣ではありません(笑)
関連タグ: 円谷 ウルトラマン 特撮

テーマ:特撮ヒーロー - ジャンル:テレビ・ラジオ

野良犬
刑事ドラマの原型となった作品(1949年・新東宝・黒澤明監督)

物語。或る夏の暑い日、新米の村上刑事(三船敏郎)は満員バスの中で拳銃を盗まれてしまう。村上はベテランの佐藤刑事(志村喬)とともに捜査を始めるが、やがて村上の拳銃を使った強盗殺人事件が発生。捜査線上に遊佐(木村功)と言う男が浮かび、村上は遊佐の幼馴染の踊り子・ハルミ(淡路恵子)を訪ねる。一方、佐藤刑事は遊佐の残したマッチ箱から辿って簡易旅館に身を潜めていた遊佐を発見する。しかし電話連絡しているところを感ずかれ、背後から撃たれてしまう…

直情的な若手刑事と老練な先輩刑事がコンビを組んで、額の汗を拭きながら地道な捜査に歩き回る…という刑事物ドラマの定番パターンはこの映画から始まっているようです。
新米刑事を演じた三船が若い!そして男前!
この三船と犯人の木村功。
ともに戦地から戻ってくる途中でリュックを盗まれた2人の元復員兵が、1人は刑事となり、もう1人は殺人犯となり、焼け跡の戦後で対峙するという、当時の社会性を無理なく取り込んだ全体の構図がいいです。
しかし犯人の木村功は最後の最後まで姿を現しません。普通のドラマだったら途中で犯人側からの視点を挿入し、特に恋人との関係なんかはクドクド、デレデレと描くところ。黒澤自身も人物描写の甘さを反省していたようです。しかし私個人は、刑事側からの視点に終始したことでラストの追い込みが生きていると思います。
雨上がりの原宿駅待合室で、三船の視線が泥だらけのズボンを目印に足元をずっと追っていき、そこで初めて現れる、痩せて目のギョロっとした木村功の顔が印象的。三船も若いが木村功も若い。
泥まみれになりながら格闘する2人の耳に聞こえる平穏なピアノの調べ。手錠をかけられた木村功の目に映る晴れ渡る空、風にそよぐ花。そして号泣。静と動を対比させ、平和と暴力が表裏一体になっていることを強調する演出が見事です。
焼け跡の街並や川上、千葉、青田ら往年の野球選手が活躍する試合風景は記録映像としても貴重。原宿駅の周りに何にもなかったり、雑木林や草ぼうぼうの原っぱが存在していたりするのにもびっくりします。
関連タグ: 三船敏郎 志村喬 木村功 黒澤明

テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

砂の器
ディスカバー・ジャパンの映画(1974年・松竹&橋本プロ・野村芳太郎監督)

物語。国鉄蒲田駅の操車場構内で推定年齢60〜65歳位の男の他殺体が発見された。被害者(緒形拳)が殺される前、蒲田駅近くのバーで若い男と話していた言葉・東北弁の「カメダ」を手掛りに、今西刑事(丹波哲郎)と吉村刑事(森田健作)は捜査を開始する。やがて今西は東北弁と出雲弁との共通点からカメダが島根県の「亀嵩」であると気付く。一方、吉村刑事は中央線の列車内から紙吹雪を流していた女、ホステスの高木理恵子(島田陽子)に不審を抱くが、理恵子は吉村が店を訪ねた直後に消息をくらます。今西たちの地道な捜査の結果、捜査線上に浮かんできたのは新進音楽家の和賀英良(加藤剛)だった…。

この映画は加藤嘉に尽きますね。
もう何度も見ているので、今更〜という感じで例のお遍路のシーンなんかも漫然と見ていたのですが、加藤嘉が慟哭するシーンになったらやはり思わず涙腺が緩んでしまいました。って、見ていない人には何のことやらさっぱりわかりませんが(笑)ともかく日本映画屈指の「泣ける映画」であることは確かです。
原作は松本清張の同名推理小説。
推理物としては偶然の要素が多すぎるし冗長で平凡な作品ですが、この映画の価値はそういうところにはないので、別に傷にはなりません。
原作にはほんの数行あるだけの、宿痾に冒された父子の乞食旅の話を膨らませて、日本の美しい四季の風景の中に「親子の宿命」を情感豊かに描いています。ちなみに、この映画は1974年度の配給総収入第3位だったそうで、第1位は「日本沈没」でした。どちらにも丹波が出ています。
無理矢理こじつければ、「日本沈没」も「砂の器」も、戦後の経済成長が終焉したこの当時の時代にふと立ち止まって、「日本とは?」を問おうとしていたのかもしれません。
丹波がGメンでも警視総監でもなくて、足で稼ぐ叩き上げの刑事役というのが今見ると新鮮な感じです(ちなみに原作では巡査部長なところ映画では警部補になっているのは、やはり丹波がちょっとエラソーだからか^^;)松竹オールスター映画らしく笠智衆や渥美清も顔を見せています。
関連タグ: 丹波哲郎 加藤剛 野村芳太郎 松本清張

テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

ウルトラマン 第1話〜第4話
動画サイトで「ウルトラマン」(初代)を見ました。
去年「ウルトラセブン」を20年振りに見たのですが、「マン」もテレビの再放送以来なので、それぐらいになります。
折角なので昨年の「セブン」同様、4話ずつ各話の簡単な感想を記しておきます。
まずは第1話〜第4話まで。


第1話 ウルトラ作戦第1号
物語。宇宙の犯罪者、怪獣ベムラーを追って地球にやって来たウルトラマン。だがウルトラマンの乗った赤い球体と、科学特捜隊のハヤタ隊員の乗った小型ビートルが衝突、ハヤタは死亡してしまう。責任を感じたウルトラマンは、ハヤタと一心同体となることでハヤタの命を救うとともに、地球に残って怪獣と戦うことを決意する…

記念すべき第1話。
冒頭、科学特捜隊に関する説明はナレーション一言で済まされ、各隊員個々の紹介的なシーンもなくて、いきなり本筋に入っています。今でこそ、この手のドラマの中で地球に対怪獣用の特別組織が存在することは当たり前の前提ですけど、これが最初の最初だったことを考えると、やけにあっさり過ぎているなという感じです。
それに、隊員でもない一般人のガキ(ホシノ君)が何の脈絡もなく科特隊本部で大きな顔しているのが不思議です。そもそも彼は何者なんでしょうか(おエライさんの親戚とか?笑)。
あと「ウルトラ作戦第1号」というのは単なる作品タイトルだと思っていましたが、劇中でムラマツキャップ自身も口にしているところを見ると、科特隊にとっての初仕事でもあるんでしょうか(科特隊ってもっと昔からあるんじゃなかったっけ)。

第2話 侵略者を撃て
物語。科学センターに異変が生じ、アラシ隊員が急行。館内はバルタン星人に占領されており、アラシも命をとられてしまう。直ちに防衛会議が開かれ、核ミサイル「はげたか」を打ち込むべきだという強硬意見が出される。しかしその意見をムラマツキャップが抑え、まず話し合いで解決を模索することとなり、その任務を帯びてイデ隊員が差し向けられる…

ウルトラシリーズの代表的宇宙人、バルタン星人が早くも第2話で登場。
ほかの怪獣でもそうですが、バルタンの造形はこの初代の、ぐちゃぐちゃっとした顔が不気味で一番いいですね。この話では、宇宙人=侵略者=即攻撃という図式にはまだなっていないのが目を惹きます。
防衛指令として東宝特撮でお馴染み藤田進がゲスト出演して物語を引き締めています。科特隊はパリに本部のある独立組織のはずですが、国内の指揮系統としては防衛軍の配下にあるんでしょうか?核ミサイル「はげたか」と言うネーミングセンスには時代を感じます^^;
ちなみに、科学センター内でバルタン星人が分身するシーン。背景にある時計の針が一気に進んでいるために、分身シーン撮影に時間がかかっていることがモロバレ。随分と杜撰なもんだったんですね^^;

第3話 科特隊出撃せよ
城の古井戸から発せられる奇怪な音を調べに行ったフジ隊員とホシノ少年は、井戸の中で巨大な目玉に遭遇する。同じ頃、発電所が襲われ透明怪獣によって電気を食われてしまう。怪獣の正体は江戸時代、侍に退治され井戸に封じ込められていたネロンガで、電気を食べて復活、巨大化したのだ…。

わざわざ「科特隊出撃せよ」って言うまでもなく毎回出撃しているんですけど…いい加減なタイトルの付け方^^;
それはともかく、今回はホシノ君大活躍…と言うより大暴走!怪獣に井戸の内に生き埋めされた仕返しと、アラシのスパイダーを盗んでネロンガを撃ちます。フジ隊員が「困った子ねえ」とか言っていましたが、そもそもわけのわからんガキを出入り自由にしてるからそうなるんだろ!と、年甲斐もなくツッコミ入れてしまいました^^;
考えてみたら私、子供の頃、ホシノ君ってキライだったんですよねえ。。。おそらく製作サイドは「子供番組だから子供キャラも出しておいた方が、視聴者はシンパシー感じるだろう」と思っていたんでしょう。でも子供の視聴者はむしろ「大人の世界で1人だけ大きな顔している子供」に対しては、反感を抱くんじゃないでしょうか。

第4話 大爆発五秒前
物語。惑星開発用の原子爆弾を搭載したロケットが太平洋に墜落。爆発の影響で海底原人ラゴンが巨大化する。ラゴンは未回収だった原爆1個を肩に付けたまま、休暇中のフジ隊員とホシノ少年のいる葉山マリーナに上陸する…。

「ウルトラQ」のラゴンが再登場。第4話目だったらまだ製作時間にも余裕があったろうに、何故同じ怪獣を使い回したんでしょうか。何度も出すほど魅力的な怪獣とも思えませんが。
冒頭、事件だと言うのに悪びれることなく休暇で旅行に出かけてしまうフジ隊員と、それを咎めだてもせず快く許可するキャップ。仕事第一のモーレツサラーマンの時代にしては珍しい…って、あ、これは未来の話か?
それにしても、折角の休暇なのに旅行のお相手がホシノ君とは、フジ隊員も物好きな。尤も子供の頃はそういう「子供と遊んでくれる明るいお姉さん」のフジ隊員の方が、アンヌ@セブンより好きでしたけどね(笑)
関連タグ: ウルトラマン バルタン星人 特撮

テーマ:特撮ヒーロー - ジャンル:テレビ・ラジオ

友情
「寅さん」以外の渥美清(1975年・松竹・宮崎晃監督)

物語。三浦宏(中村勘九郎、現・勘三郎)は年上のOL・紀子(松坂慶子)と同棲している大学生。
父親を亡くし紀子の援助で学生生活を送っている宏は夏の間、ダム工事現場で働くことにする。
そこで宏は粗野だが人の良い中年の労務者・源太郎(渥美清)と出会い、意気投合する…。

渥美清と言えば「寅さん」。でも私が最初に知ったのは、別のテレビドラマでした。
かなり幼い頃見たので、タイトルも内容もうろ覚えでしたが、今思い立って検索してみたら「からすなぜ泣くの」(1971年、NHK銀河ドラマ、全10回)だったらしいと判明。そうそう、毎回渥美清自身の歌う童謡「七つの子」が主題歌か何かになっていました。確か渥美清が他人の子供の父親代わりを務めるという話の人情物だったんです。もう37年前ですか。。。NHKにも録画は残っていないでしょうね。

それはともかく、70年代は「男はつらいよ」以外の映画・ドラマで主役を演じることも多かった渥美清ですが、何を演じても結局「寅さん」としか見られなくなったことでだんだんとやる気を失くしてしまったのでしょうか。
今にして思えばそれは俳優・渥美清本人にとって不幸でしたが、映画ファンにとっても大いなる損失でした。
この作品は渥美清が「男はつらいよ」で人気絶頂中の1975年に「松竹八十周年記念」として撮られた佳作です。

中村勘九郎と渥美清扮する主人公。
1人は「嫌いになったらいつでも別れる」と言うドライな約束で年上の恋人・松坂慶子に食わせて貰っている、よく言えば70年代前半によくあるシケラ世代の優しい青年( 普通に見れば単なる甘ったれ小僧ですが)
もう1人は、瀬戸内海の小島から出稼ぎに出て来て結果的に妻子を捨ててしまい、故郷に戻れなくなってしまった中年労務者。
この立場も年齢も全く違う二人がふとしたことから奇妙な友情で結ばれる、と言うお話です。

東京に戻った勘九郎を追う様にして上京して来た渥美清は、土産の毛蟹で食あたりを起こして勘九郎のアパートで寝込むハメに。
そこへ松坂慶子の叔父・有島一郎が現れて、若い2人のいい加減な生活を非難して別れるように迫ります。しかし傍らで聞いていた渥美清がやがて黙っていられなくなって起き上がり、弁護します。「この2人は大丈夫だ、俺が保証する!」

若い恋人同士の姿に捨ててきた妻子を思い出し、故郷に帰ろうとする渥美清。ふとしたきっかけで二度と再び家族との愛を取り返すことのできなくなってしまった男の過去が切ない。
「面白ろうて、やがて悲しき」を演じたら絶品の渥美清が見せる、背中で泣いている演技が光ります。
一方、その姿を自分と恋人との関係に重ね合わせて「一生別れない」と誓う勘九郎。
若くして熟練の演技を見せています。
そして年上の恋人演じた松坂慶子。
若くてきれいで、優しく包むように愛してくれる、男にとっての聖母のような存在とはまさにこのことでしょうね^^;他の出演者には笠智衆、加藤嘉、米倉斉加年、佐々木愛、名古屋章、谷村昌彦など。

関連タグ: 松竹 渥美清 中村勘九郎 松坂慶子

テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

からっ風野郎
"映画俳優"三島由紀夫のデビュー主演作品!(1960年・大映・増村保造監督)

物語。対立する相良組の親分(根上淳)の足を刺して服役していた朝比奈一家二代目の武夫(三島由紀夫)は、出所予定の当日、相良組の雇った殺し屋に狙われる。ビビッた武夫は所長(三津田健)に頼み込み、出迎えに来ていた叔父貴の平山(志村喬)や兄弟分の愛川(船越英二)もまいてこっそり刑務所を出所。やがて朝比奈一家のシマにある映画館に身を潜めた武夫はモギリ嬢の芳江(若尾文子)と出会う…

作家の三島由紀夫が臆病で弱虫のチンピラヤクザを演じた、「俳優」としてのデビュー作。
「動いて喋っている」三島は映画「人斬り」(1969年)を始め既に何度も見ているのですが、これを見るのは初めて。
「人斬り」での演技がかなり大根だったので、これも相当なキワモノかと思いきや、予想外に三島は健闘していました。

勿論お世辞にも上手とは言えませんが(特に動きのあるシーンはかなりぎこちない)、不器用なりに役になりきろうとして一生懸命演じているのが伝わります。「だらしないヤクザ」というキャラクターも意外にはまっていたし、ど素人でこれだけやってくれれば十分でしょう。少なくともどこぞのアイドルタレントよりはずっと様になっているし、途中「三島」ということは忘れて見ていました。

とは言え、節々で三島の「存在感」を強烈にアピールしていることも事実。
例えば手を怪我しただけなのに何故かパンツ一丁になっていてその肉体美を誇示するシーンがあったり、船越英二が大卒の法学士の役なのに、実際に東大法学部卒の三島が小卒の設定だったりするのは笑わせます(ちなみに三島って、確かに引き締まったいい体をしているのですが、所謂ムキムキのマッチョマンをイメージしていると裏切られます。体格が小柄だし、何だかショボンとした感じに見えてしまうのです)。

映画の内容的にはゴダールの「勝手にしやがれ」を髣髴させるようなチンピラヤクザの場当たり的な生き様と情けない死に方を描いていてなかなか面白く、松竹ヌーベルバークよりこっちの方がよっぽど本家の作風に近かったんではないかという気もします。

出演俳優陣では、文学座の三津田健と神山繁が出演しているのは、当時文学座の座付き作者でもあった三島のためのサポート体制だったのでしょうか。
それにしても、三島と親交のあった若尾や大映専属の俳優はまだしも、あの「七人の侍」の名優・志村喬と三島が同じ画面に映って共演しているというのはかなりシュール。異星人との遭遇に近い感じがします(そう言えば志村さんって、「ゴジラ」や「稲尾投手」とも共演してるんだよなあ。。)
関連タグ: 大映 三島由紀夫 増村保造

テーマ:俳優・男優 - ジャンル:映画

三島由紀夫の同名短編小説の映画化(1964年・大映・三隅研次監督)。

物語。東和大学剣道部主将の国分次郎(市川雷蔵)は、あらゆる世間に背を向け剣一筋に打ちこむ純粋な青年。己自身のことも部員たちのことも厳しく律していたが、そんなキャプテンの姿を新入部員の壬生(長谷川明男)は尊敬している。一方、国分の同級生の賀川(川津祐介)は、剣の実力もあるが適当に遊ぶタイプで、国分の純粋さには反感と同時に嫉妬している。賀川は、学内ナンバーワンと言われる伊丹恵理(藤由紀子)を使って国分を誘惑するが、その後も国分の態度に変化は見られない。夏の強化合宿の日、賀川は国分たちが木内監督(河野秋武)の出迎えに行っている隙に、部員たちを厳禁されている水泳に誘った。監督に見つかり賀川は即刻帰京を命じられたが、国分は自分が敗北者のようにうなだれていた。やがて数日後の納会の夜、国分が自殺して死んでいるのが発見される…

純粋な青年がその純粋さ故に破滅してしまうというお話。
部員が規律を破って水泳に行った責任を取って自殺してしまうわけですが…何もそこまでせんでもという感じでこの最期は唐突です。そもそも、自分自身の純粋さを貫くことと、統率者として責任を取ることとは一見関係があるようでないんですね。だったら多田の造反や賀川のタバコ事件の時にももう少しリアクションがあってよさそうなものです。水泳の場合は全員、しかも信じていた壬生にすら裏切られたショックということになるのでしょうか。
ただその一方で、国分は社会に出て自分が汚れてしまうことを極度に恐れている、と言う事実があります。彼は当面それを剣に、そして全日本大会優勝という目標に向けて打ち込むことで目を逸らしているわけですが、合宿が終われば大会は目前だし、その後は否応なく社会に出ることを余儀なくされます。従って国分があくまで己の純粋さに固執しようとすれば必然的にその前のどこかで自分の命を絶たなければならない帰結にあります。
そう考えると、部員の水泳というのは単なるそのきっかけで、統率者としての責任を取って強く正しく死ぬというふうに自分の死を美化するための口実に過ぎなかったのではないかとも考えられます。ちょうど三島自身の死がそうであったように。

主演の雷蔵さんは当時32歳ということでもう大学生を演じる年じゃなかったんですが、この当時の大学生は今より遥かに老けて見えるし、それに雷蔵さんは年よりずっと若々しいのでそう不自然ではないです。剣道場で部員を前にして訓示をする時に発する凛としてよく通る声が実に魅力的で、体育会的なものの嫌いな私でも思わずあの声で自分の名前を呼んでもらいたような誘惑に駆られます。
藤由紀子は後の田宮二郎夫人。ダンナは雷蔵さんとは一本も共演していないのですが、奥さんの方は他にも2本ぐらいありますね。ただこの映画に女は要らなかったし(ちなみに原作には登場しません)、出すにしてもこんな取ってつけたような使い方ではなくもう少し工夫をして欲しかったように思います。
関連タグ: 市川雷蔵 三島由紀夫 大映

テーマ:邦画 - ジャンル:映画

大魔神逆襲
大映の特撮時代劇「大魔神」三部作の第3作(1966年・大映・森一生監督)

物語。荒川飛騨守(安部徹)は近隣諸国を制覇する拠点として砦を作るため、隣国の木こりたちを捕らえて地獄谷で強制労働させていた。鶴吉(二宮秀樹)、金太(飯塚真英)、大作(堀井三平)、杉松(長友宗之)の4人は親兄弟を救うため 魔神の山を越えて地獄谷へ向かおうとする…

「大魔神」シリーズは1966年の4月、8月、そして本作が12月に公開され、3作で終了(別に人気がなかったからではなくて、お金がかかり過ぎるというのが原因)。前2作で大魔神を動かすのは清らな乙女の心でしたが、今回は子供。子供4人が主役の冒険談中心の物語になっています(なのに、公開は冬休み前に終了。こういうチグハグさが大映らしいのですが)。
尤も子供のうち1人が仲間をかばって犠牲になるなど、内容は結構ハード。子供が主役だからと言って決してお子様向けに作品の調子を下げないのは良心的なところです。
鶴吉を演じた二宮秀樹は「マグマ大使」のガム役で有名。「大魔神」第1作でも若君の子供時代を演じていた健気で可憐な子役です。他の3人の子役も真摯な演技で、単調になりがちな物語を飽させずに見せてくれます。
一方、今作の悪人は安部徹&名和宏の2人。大映は悪役俳優陣が弱いのが欠点で、この2人も前作「大魔神怒る」の神田隆同様専属ではなく当時フリーの俳優。悪役の憎々しさ、そして大魔神から逃げ回る時の哀れっぽさこそこのシリーズ最大の見所だと思いますが、2人とも期待に違わぬ芝居を見せてくれています。また、魔神の山の入り口で荒神の祟りを説く老婆役で北林谷栄がこの手のものに出演しているのは珍しいのですが、どっちかというとこういう役は原泉の方が適任だったかも。
さて今回の大魔神は雪山を舞台に登場。横殴りの吹雪をバックに猛威を奮い、初めて剣を抜いて見せてくれるサービス?もあります。吹き荒む嵐、大地震など自然の脅威を撮らせたら大映特撮は圧巻。また大魔神は身長10メートルと言うことで、見上げたらすぐそこにカッと目を見開いた巨大な顔があるというリアリティも迫力満点です。それぞれ好みは別れるでしょうが「大魔神」シリーズは3作とも傑作揃いで、どれを見てもハズレなしです。

関連タグ: 大映 時代劇 特撮 大魔神

テーマ:特撮・SF・ファンタジー映画 - ジャンル:映画

夜の診察室
松坂慶子が初主演した大映末期のお色気コメディ(1971年・大映・帯盛迪彦監督)

物語。麻生梢(松坂慶子)は医学博士の父親(高橋昌也)が開設している性の悩み相談室を手伝う女子大生。或る日、夫(早川雄三)のセックスレスに悩む妻(真山知子)が相談に訪れる。夫を尾行した梢は、彼の従弟のポルノ作家・榊(峰岸隆之介、後の峰岸徹)と知り合う。プレイボーイと噂のある榊に対抗するため梢は、患者の告白をあたかも自分自身が経験したのことの様に話す。やがて2人は恋に落ちるが、何故か榊は直前で梢を抱くのをやめてしまう。翌日、麻生が梢の父親だとも知らずに相談にやってきた榊は、プレイボーイとは営業用で実は女性経験がないことや、死んだ妹に似た女性を愛してしまったことを打ち明け、アドバイスを受ける。その話を聞いていた梢は榊の後を追う。一方、榊の話していた女性が自分の娘のことだと知った麻生は慌てるが、時既に遅し。2人はめでたくゴールインするのだった。

Gyaoの無料動画で見ました。
以前書きましたが、これは子供の頃テレビ東京の「日本映画名作劇場」(どこが名作なんだか^^;)で親の目を盗みながら見たという想い出のある映画です。松坂慶子が19歳の時の初主演作、それもお色気物ということで、テレビ放送された当時には既に一種のお宝映像的な伝説の作品になっていました。実際はヌードシーンなんてない(セミヌードで背中が見える程度)のですが、放送前には想像力をかきたてられたもんです^^;

映画が公開されたのは1971年9月ということで、大映倒産の2ヶ月前にあたります。つまり末期大映のB級キワモノ映画のひとつで他愛もない内容ですが、セックスレスに悩む妻とか自分のサイズが小さくて妻を満足させられないんじゃないかと気に病む新婚の夫が登場し、現代でも通じそうなセックスにまつわるエピソードをコミカルなタッチで扱っています。
しかし、それよりなによりこの映画の見所はやはり若き日の松坂慶子のキュートな魅力。ヌードこそありませんが、可愛いミニスカ姿やSM女王姿(イメージシーン)を堪能できます(笑)峰岸徹のワイルドなかっこよさや高橋昌也のとぼけたセックスドクター振りも嫌味がなくていいですし、時代を感じる女性のファッションやメイクなんかも楽めます。
関連タグ: 大映 松坂慶子 峰岸徹

テーマ:恋愛映画・ロマンティックコメディ - ジャンル:映画

若親分乗り込む
市川雷蔵主演の任侠物「若親分」シリーズ第4作(1966年・大映・井上昭監督)。

物語。南条組二代目の武(市川雷蔵)は亡父の友人・磯田組の親分(荒木忍)を尋ねるが、親分は憲兵の拷問で殺されてしまう。更に親分の娘・柳子(藤村志保)から、柳子の弟が危険思想の持ち主として拷問され殺されていたことを聞かされる。真相を探るため磯田組に留まった武を憲兵隊が呼び出し、町を去るよう脅迫。一方、新興やくざの郷田組(北城寿太郎)は刺客として三次郎(本郷功次郎)を差し向ける…。

若親分を慕うやくざの娘に藤村志保!
若親分を狙う青年やくざに本郷功次郎!
その恋人には松尾嘉代!
…と言うキャスティングだけ見ると面白そうだった…いや確かに途中までは面白かったのですが、終盤メタメタで目も当てられませんでした。

まず、昔気質の老親分が殺され、若親分こと南条武がその裏を探ってみると新興やくざと結託して利権を漁る陸軍憲兵隊の不正が発覚、というのは、お決まりなストーリー。
一方、新興やくざの幹部の1人である三次郎・本郷功次郎は若いながらも一途で昔気質のやくざなので(ちなみにこのシリーズ、「昔気質」なら即「いい人」ってことになってます)組のあこぎなやり方には内心不満を持っています。しかも組の幹部が武を憲兵隊の力を借りて始末しようとしているのに反発。だったら自分がと、恋人のおみね・松尾嘉代が止めるのも振り切り、1人で若親分に対決を挑みます。しかし若親分にあっさり殴り倒され、更に組の幹部たちからリンチを受けていたところを若親分に助けられます。
三次郎は若親分の忠告で足を洗っておみねと故郷へ帰ることにしますが、裏切った三次郎に組から刺客が放たれます。ここで面白いのは、小雨の降る中を番傘を差した本郷と松尾嘉代が歩いていると、そこへ刺客が体当たりして来て…というシーンを上からの俯瞰図で撮っていること。同じ大映の「続・悪名」(1961年)でモートルの貞こと田宮二郎が刺殺された有名なシーンそっくりです。ただしこの映画での本郷は死ぬことなく、懐のドスで返り討ちします。
さて話は終盤にさしかかり、若親分は新興やくざどもをバッタバッタと斬り倒します。しかしまだ黒幕の憲兵隊が残っているのでこの元凶を倒さないと終わらないのですが…肝心のここからの展開がいただけません。
若親分はたまたま再会した旧友の竹村少佐(戸田皓久)に借りた軍服着こんで、海軍少佐と称して憲兵隊に乗り込み、東京から来ていた特別査察官の吉村少将(三島雅夫)に憲兵隊の不正を訴えます。しかし憲兵隊によってニセ海軍士官であることを暴露されてしまいます。若親分窮地に…と思いきや、この吉村少将が何故か妙に物分りが良くて、ニセ海軍のやくざ者の言い分を(竹村少佐の助言もあったとは言え)聞き入れて、憲兵隊の首魁どもはあっさり御用に。かくして、めでたしめでたし…というご都合主義の典型みたいな結末。
このシリーズでは雷蔵さんが海軍上がりの清く正しい渡世人、おまけに終盤では颯爽と海軍の軍服姿も見られるという、一粒で二度美味しいみたいな展開がウリ。しかし今回のように、本来はアウトローであるべきやくざがお上の権威を借りて事を解決するのはやり過ぎで、とたんに話がつまらなくなります。
若親分がもろ肌脱いで背中の彫り物を見せるシーン。やくざ映画ならではの見せ場ですが、雷蔵さんは撫で肩のせいか裸になった上半身が妙にしょぼんとして見えるので、イマイチ様にならないんですよねえ。。
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