ゴジラに続く東宝の単体怪獣映画(1956年・東宝・本多猪四郎監督)
物語は、九州の炭鉱で発生した連続殺人事件…と言う、一見怪獣とは何の関係もなさそうなミステリー仕立てで始まります。 やがて炭鉱内から巨大なハサミを持った古代トンボの幼虫・メガヌロンが出現。これにより話は急展開し、今までの犯人もコイツだったことが判明します。 一方、自衛隊機が超音速で飛ぶ正体不明の飛行物体を発見、伊福部昭の軽快なマーチをBGMに追跡するも、途中で急反転して来たその物体に撃墜される事件が発生。 落盤で記憶喪失になっていた技師・佐原健二は、鳥篭の卵が孵る様子を見ているうちに、洞窟内で巨大な卵が孵化して鳥の化け物が誕生、メガヌロンを啄ばんでいたことを思い出します。佐原の証言により古生物学者・平田昭彦博士は、古代の翼手竜プテラノドン、通称ラドンが原水爆実験による異変により眠りから覚めたと断定。やがて阿蘇の火口付近からラドンが飛び立ちます…。
と、映画が残り20分近く経って漸くラドンがその全貌を現すのですが、そこに至るまで小さなエピソードを幾つも重ねながら徐々にサスペンスを盛り上げて行く演出が見事です(子供の頃はじれったかったのですが)。
さて、「空の大怪獣」の名に相応しく優れた飛翔能力を持っているラドンですが、ゴジラの放射能火炎のような武器を持っているわけではないので一方的に自衛隊機の追撃を受けて傷つき、福岡に舞い降ります。そこでまた戦車部隊の集中砲火を浴びますが、更にもう一羽のラドンが飛来し、二羽のラドンはいずこかへ姿を消します。 ラドン対策会議(ここに何故か民間人であるはずの佐原健二まで列席しているのは昭和の怪獣物のお約束)の席上、平田博士は動物の帰巣本能でラドンは阿蘇にいると断定。これに拠りロケット弾を撃ち込むとラドンが出現し阿蘇が噴火。しかし傷ついたラドンにはもはや飛ぶ力もないのか、一羽が力尽きて溶岩流の上に落下すると、やがてもう一羽も折り重なるようにして落下。炎につつまれて息絶えて行きます。 その姿を見つめる佐原、平田博士たちの面持ちには勝利感はなく、むしろ怪獣=巨大なるが故に滅ぼされ行くものに対する限りない哀惜の念が込められています。こうした視点で描かれた怪獣物は意外に少なく、他には初期のウルトラ物の一部にしか見られなかったような気がします。 いつも端正でクールなイメージのある平田昭彦博士ですが、この映画では額に大きな絆創膏を張っていたりして、やや二枚目半的な感じがするのは珍しいです。
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