カレンダー

01 | 2010/02 | 03
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 - - - - - -

最近の記事

映画INDEX

映画レビューの五十音別インデックスです

カテゴリー

月別アーカイブ

最近のコメント

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

RSSフィード

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

レトロな雑記帳
昭和の日本映画レビュー中心のブログです。テレビ番組や本の思い出を書く時もあります。
江戸川乱歩「緑衣の鬼」より 白い人魚の美女
江戸川乱歩の美女シリーズ第4作目(1978年7月8日放送・テレビ朝日・井上梅次監督)

物語。深夜のビル街に出現した巨大な影に怯える女…。彼女は明智小五郎(天知茂)の助手・文代(五十嵐めぐみ)の女子大時代の先輩・笹本芳枝(夏純子)だった。芳枝の夫・静雄は、緑の影に脅かされてノイローゼになってしまったと言う。翌日、笹本家を尋ねた文代は、居間に倒れている芳枝と、寝室で顔中血まみれの静雄を発見する。その時、文代も何者かに殴られ気絶する。薄れ行く意識の中で文代の目に映ったのは、緑色の影だった。以来、芳枝と静雄は行方不明になってしまう。
波越警部(荒井注)は従兄の夏目太郎が芳枝を偏愛し、また緑色にも執着していたことから容疑者と断定。やがてホテルに緑色の服の男が現れたと通報が入り、トランクに監禁されていた芳枝が発見され無事保護される。回復した芳枝は、叔父で太郎の父親の菊太郎(松村達雄)、従妹の知子(朝加真由美)、秘書の山崎(荻島真一)と伊豆の別荘に向かうが…

本作はシリーズ4作目にして初めて、明智小五郎が登場しない原作小説からのドラマ化です。原作では、探偵作家の大江白虹と言う青年が狂言回しを演じ、探偵役は乗杉龍平と言う一作限りの探偵が務めています。従ってドラマ版では、両者をミックスした役割を明智小五郎が担っています。
冒頭、巨大な影が芳枝を襲うと言うスリル満点な発端は原作通りに再現されています。ただ、こんな余計なことをしなかったら明智が事件に関与するともなく、従って完全犯罪が成功していたかもしれないのですから、よく考えてみれば少し不自然なプロットです^^;このあたりは、本来明智の登場しなかった原作をベースにしていることから無理が生じてしまったのでしょう。しかし、その後のストーリー自体にはさほど違和感を感じさせるものはありません。

物語は、緑衣の鬼・夏目太郎から執拗に狙われる芳枝を軸に展開。
全身を緑衣で覆い包んだ怪人と言うのは文章で読む限りは不気味なのですが、映像ではやはり滑稽感が先立ってしまいますね。いかにフィクションとは言え、こんなド派手なスーツを着て様になるのは植木等の無責任男ぐらいです^^;
ちなみにタイトルの「白い人魚」と言うのは全裸で水族館の水槽に投げ込まれた芳枝のことですが、これが夏純子本人なのかどうか、はっきりしません。よく似た吹き替えの人かなと思うのですが。
夫・笹本静雄、従妹の知子、そして叔父の菊太郎(あと、お手伝い)と、芳枝周辺の人々が次々太郎の手に掛かります。こういうストーリーの場合では、夏目太郎が真犯人ではないことは明白だし、本当に怪しいのが誰かも見ていれば見当がつくわけですが、視聴者任せで何となく謎が解けてしまうのでなく、きちんと「二つの不可解、五つの不可能」を提示して論理的に道筋を立てています。
ここで明智小五郎は「不可能」よりも「不可解」に着目して謎を解いていくと言う、彼一流の推理術を披露しています。
「不可解」といえば、明智が何故緑色の怪人と同じ格好をして洞窟に入り込んでいたのか、わかりません。「訳はあとで話す」と言いながら結局明かされず終いなので、視聴者にとって不可解なままです。無理矢理解釈すれば、動機の解明を重視する明智先生としては、やはり犯人そのものになり切ってしまうことが不可欠だったのかもしれません。それにしても、いかに普段から派手なスーツを好む明智先生とは言え、さすがに緑色のまぬけなマスクとマント姿ではダンディ形無しですね^^;
謎解きシーンでは「変装ベリベリ」で松村達雄と入れ替わって華麗なる明智先生出現。「変装ベリベリ」自体は2作目の「浴室の美女」でもありましたが、この時は謎解きシーンではなかったので、事実上の初公開と言ってもいいでしょう。服装の方はまだワンタッチでベリベリではなく、自分でガウンを脱いでいるあたりに初期らしさが伺えます。
最後は「明智…呪ってやる…!!」と強烈なダイイングメッセージを残して、犯人が自殺(なんでわざわざ水槽に入るのかよくわかりませんが)。そう言えば途中でも芳枝から「先生って親切そうに見えて、根は冷たい方なんですね」、山崎からは「僕は明智さんの無能ぶりにがっかりしているんです」「何が名探偵です」などとコキ降ろされていましたが、今回の明智は最後まで散々に言われっ放しでした。

本作では文代さんが女子大で「テニス部」に所属していたという「過去」が判明しています。でもそれは物語の展開とは、勿論何の関係もありません^^;ただ、今までは単なる明智の「助手」と言う以外に特徴のなかった文代さんに、具体的な性格が肉付けされた点は注目に値します。
と言うのも、この作品において明智先生に対する文代さんの「焼き餅」、つまり先生と弟子の関係と言う以上に異性として愛情を抱いていることが、シリーズ史上初めて明らかにされるからです。
後々定番になる台詞「先生ったら、ほんっとに美人に弱いんだからっ」も初登場しています。そもそも、明智に向かって文代さんがこんな風にズケズケとした口を利くのもこれが初めてだったはず。冒頭で、深夜の明智事務所に二人っきりでいるシーンからして何やらアヤシイです。普通の上司と部下、師匠と弟子と言うだけの関係とは思えない、オフィスラブめいた雰囲気を感じてしまうのですが、これは私の妄想でしょうか^^;

一方、この作品では明智のクールな女性観も明確になっています。
1〜3作目では物語開始早々から「美女」に陥落してしまっていた明智ですが、本作では、実は文代さんが焼き餅焼くほどには美女(芳枝)に関心を示していません。前作「死刑台の美女」では人妻から激しい告白を受けて思わず逃げ出してしまったウブな(?)明智でしたが、本作では同じく人妻の芳枝に対して「美しい人と言うのは、知らず知らずのうちに罪を作っているものです」などとキザな台詞でおだてておきながら、その気になった相手から迫られると余裕で冷たく袖にすると言う成長(?)を見せています。

夏純子は比較的早く結婚・引退してしまったので、この作品あたりは既に芸能生活終盤の時期でしょうか。典型的な猫系顔で、必ずしも美人ではないのですが、非常に色っぽくて危険な香りのする女優さんですね。
芳枝の愛人・山崎を演じた荻島真一は、後に第16作「白い乳房の美女」にも出演しています。80年代の「土曜ワイド劇場」の顔の一人で、自信過剰で野心的な青年実業家やエリートサラリーマンがはまり役でした。天知先生同様、50代の若さで亡くなられてしまったのが惜しまれます。

関連タグ: 天知茂 江戸川乱歩 夏純子 荻島真一

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

この記事に対するコメント

こんばんは^^
「緑衣の鬼」は犯人がとてもわかりやすい特徴を持って出てくるので子供の頃から好きな話でした^^もうこんなんばかり読んでて母親に叱られてました。緑衣の鬼では、全身緑色の扮装はともかくとして頭の毛がもじゃもじゃ…というところにいつもなんとなく笑いを覚えた記憶があります。テレビでもちゃんともじゃもじゃ頭でしたね^^
明智の出てない話で美女シリーズを作るとは!と憤慨した時があったかどうか忘れましたが、出てこない作品に明智さんが活躍というのは明智ファンからすれば嬉しいはなしですよね。
【2009/11/14 23:49】 URL | くりかのこ #3ctEyMNo [ 編集]


くりかのこさん、こんにちは。コメントどうもありがとうございます。
私が最初に読んだ「緑衣の鬼」は例のポプラ社版だったので、元々明智が出ているもんだとずっと思い込んでいました。
乱歩が通俗長編で明智以外の探偵役を使う時は、それ相応の理由があるので、その探偵役を明智に置き換えてしまうと多少不自然な箇所が生まれてしまうのはしょうがないですね。その中でもこの「白い人魚の美女」はうまく置き換えが成功した方だと思います。
【2009/11/15 12:36】 URL | hayamin #mQop/nM. [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://retroroom.blog111.fc2.com/tb.php/290-f2533225
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)